癌との戦いと卵巣機能温存に光

こんにちは。

今日は厚手のスプリングコートでは汗ばむような気温です。

Hope_ray_egg-donation

さて、癌治療における化学療法が、早発閉経や不妊の、卵子や精子の質の低下等の副反応を伴う事が多い事は良く知らせております。 最近では、小児がんの既往のある方々が成人してから不妊に悩む実態から、小児であっても治療開始前に卵巣を摘出し、治療完了後に戻するなどの方法で、機能の温存る事も検討すべきであるとの医学会の提案が注目を集めました。
今、目の前にある命を奪いかねない病に対しての治療にあたっては、あくまでも可能性としての、まだ見ぬ命を生み出す機能としての生殖が犠牲になる可能性は、受け入れざるを得ない副作用なのかもしれません。

そんな中、米国で、乳癌治療において、治療後の早発閉経の発現を有意に低減させる物質を発見したとの研究結果が発表されました。

ゴセレリンと呼ばれる薬剤を追加することにより、その確率を低減できることが示されたというこの研究は、米国立がん研究所(NCI)の支援により実施され、「New England Journal of Medicine」3月4日号に掲載されました。
Goserelin for Ovarian Protection during Breast-Cancer Adjuvant Chemotherapy
乳癌補助化学療法中の卵巣保護のためのゴセレリン(日本語抜粋)

研究が開始された背景として、若い乳がん患者にとって、化学療法の最も悩ましい副作用の一部が早期の急な閉経と不妊であるとしており、閉経前の乳癌患者の女性に化学療法を実施し転移リスクの低減、全生存率の向上、乳がんの克服に効果がある一方、治療が原因で不妊になる事が揚げられている。

分かり易く解説した日本語記事はこちらです。
乳がん治療による早期閉経の回避に有効な薬剤

女性が不妊を恐れずに癌治療に臨めるよう、研究が進んで行くことを願っています。

末筆ではございますが、不妊治療を継続中の方々におかれましては、乳癌、子宮頸がん、子宮体がん等、定期的な受診をお忘れなきよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

次の記事

着床前診断と出生前診断
カテゴリー
体外受精