クローズアップ現代で卵子提供が取り上げられました

1月30日放送のクローズアップ現代で卵子提供が取り上げられました。

番組の前半は卵子提供を受けた当事者の背景や動機、思いを軸に進みます。
その他、医師、ドナー経験者やエージェント等の視点も紹介され、ルールのない日本の現状が浮かび上がります。
後半では一転、既にルールを定めている国々の仕組みが紹介されます。専門家の意見も交えながら、日本の課題を明らかにしようと試みています。

卵子提供を受けた当事者のお話からは、卵子提供を決断当時の状況や葛藤が伝わってきました。
妊娠出産の適齢期には仕事に没頭していた事。子供が欲しいと思い始めた頃には自然妊娠は難しかった現実。「そんな時代でした」というその後に取り組んだ治療の費用や、限界を感じた事。治療に万策尽きたとき、養子縁組を先ずは考えたにも関わらず、説明会に集まった人の数の多さに圧倒され、この方法は絶望的だと感じた事。その後、卵子提供に進むと決意し、その後も様々な逡巡があった事。今は子供優先の生活だと話す言葉からは、お子さんを愛しむご様子も伝わってきました。
取材はドナーの方、医師、研究者、エージェントへと及びました。生の声を拾う事に注力された取材姿勢が覗えました。
番組のラストは、国としての解(ルール)を定めずに放置する事はできないところへ来ているのではないか?との問いかけで締めくくられていました。あ

卵子提供はスキャンダルではないのに

これまでの報道においては、卵子提供といえば、善悪で言えば悪。
「なぜなら、産婦人科学会が認めていないから。」という見解ばかりが主張されていました。

それ故、報道の殆どが、卵提供に関わる側への批判的視点のみを強調したものでした。十年一日、同じ視点の同じ批判が繰り返される事を歯がゆく思っていました。また、卵子提供をスキャンダルとして扱った雑誌もありました。世間が書かない真実を書くどころか、目新しい視点は一つもありませんでした。聞き覚えのある文言でスキャンダラスに煽り、耳目を集める事が目的だったのでしょう。当事者への取材すら行われていない浅い見聞録でした。
卵子提供はスキャンダルではありません。ましてやエンターテインメントでもありません。

一方で、我々自身の有り様にも忸怩たる思いがありました。
表に出る事で受けるであろう反応が、批判的である事が予想できるからです。
批判への対応の煩わしさを考え「そっとしておいて」との思いも強く持っていました。

当事者の方々の想い

今回、クローズアップ現代で卵子提供が取り上げられるそうです。と、あるレシピアントの方からご連絡をいただきました。


「またアンチ報道かと思うと辛いですが、観るつもりです」

との事でした。

これまでの好意的とは言えない報道の攻撃のターゲットは常にエージェントでした。
一方でレシピエントの方々が批判を受ける事はあまり無かったように記憶しています。それ故に私たちも当事者の方々の受け止め方に思いが至っておりませんでした。
いただいたメッセージを拝読し、改めて、これまでの報道を「アンチ」と感じ、傷ついていたのはレシピエントも同じだと気付かされました。恐らくはドナーの方も同様。

今回の放送がをきっかけになると良いと思いました。
卵子提供に対して、少しでも多くの方々が興味を持って下さる事。その先にこそ、日本のルール作りがあるはずだからです。
様々な立場の方が、それぞれの角度から善か悪かでなく(ましてスキャンダるとしてではなく)、議論百出した上で日本の卵子提供のルールが形作られていくことを願っています。



クローズアップ現代HP
https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/episode/te/YL5VNM66PM/
取材ノート https://www.nhk.or.jp/minplus/0121/topic058.html

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