ピルの効用
こんにちは
みなさんはピルを服用したことがありますか?
今日は、避妊以外の効用を持つピルについてお話しします。
ピルは、エストロゲンとプロゲステノーゲン(プロゲステロンの作用をする物質の総称)というホルモンが入っている薬です。
ピルを飲むことによって、体のホルモンバランスを妊娠している状態に似たようにして排卵を抑制します。
ピルには、妊娠が成立した時に分泌される上記2つのホルモンの1/20以下程度の量が含まれています。
ピルを飲むことで、妊娠している状態に近くなるので、排卵をしなくなります。
そのため、避妊の効果があるのです。(その他にも、着床を抑制したり、子宮内に精子が流入するのを防いだりという作用があり、それによっても避妊効果があるようです。)
避妊以外に副効用(避妊以外の効果)を目的としてピルを服用している方もいます。
副効用の例は次のようなものがあるといわれています。
・月経に伴うトラブルの改善
月経痛や月経量の軽減、月経不順や貧血の改善など
・ホルモンバランスの変化による効果
にきびの改善、多毛症の改善など
・排卵を抑制することによる効果
卵巣のう腫や子宮外妊娠の減少など
・長期服用による効果
良性の乳房疾患の減少、子宮体がんのリスク低下など
なお、これらの効果は必ず全ての人に見られるわけではありません。
医師と相談の上、服用をするかどうかの選択をしてください。
ピルは、毎日同じ時間に飲みます。
朝9時に飲む方は、次の日も朝の9時ごろに飲んでください。
なお、ピルを飲んでいるときの月経は、子宮内膜がそれほど厚くなりませんので、飲まないときと比べて量が少ないことが多いです。
そのため、月経痛が軽減することがあります。
ひどい月経痛は、子宮内膜症などの懸念がありますので、特に突然ひどくなった場合などは、産婦人科の受診をおすすめします。
また、1つのシートに21錠入っている21錠タイプと、28錠入っている28錠タイプがあります。
21錠タイプは21日間飲んで、7日間休薬(薬の服用を休む)します。
そして8日目から次の新しいシートの錠剤を飲み始めます。
28錠タイプは28日間飲み続けて錠剤がすべてなくなったら29日目に新しいシートの錠剤を飲み始めます。
28錠タイプの最後の7錠は「プラセボ(偽薬:ぎやく)」といって、薬の成分が入っていない錠剤です。21錠タイプだと7日間飲まない期間の際に、何日目か分からなくなってしまうことがありますが、28錠タイプですと薬を飲まない期間がないので、飲み続ける習慣をそのまま維持できるというメリットがあります。
ピルを飲んではいけない人は?
次の項目に当てはまる人は、ピルを服用することができません。または、医師と相談の上、服用できるかどうか判断してもらいましょう。
・35歳以上で1日15本以上タバコを喫う方
・血栓性静脈炎、肝塞栓またはその既住のある方
・乳癌、子宮体癌、子宮頸癌、子宮筋腫 または疑いがある
・脳血管、心血管系の異常のある方
・肝機能障害
・高血圧、血栓症、心筋梗塞にかかったことがある またその疑いがある
・糖尿病、高脂血症
・妊娠(または、その可能性)、授乳中の女性
・最近手術をした、また手術の予定のある方
など
ピルの副作用は?
ピルを飲み始めると、つわり様症状(軽度の吐き気、乳房の張りなど)や月経と月経の間に出血(不正性器出血)がみられることがあります。
軽度のものであれば、2~3ヶ月(2~3シート)飲み続けることによって治まります。
しかし、ひどい場合、なかなか治まらない場合など、ピルの種類を変えることによって治まることもありますし、それ以外の原因がある場合もあります。
おかしいなと思う場合は、ピルを処方した医師に相談してみてください。
最近、10代~20代前半の人工中絶だけではなく、性感染症(クラミジア、ヒトパピローマウイルスなど)が増加しています。
ピルには、性感染症の予防効果は一切ありませんので、性感染症予防には、コンドームを性器挿入行為の前から着用しましょう。