提供卵子(第三者のもの、またはカップルが使用する目的でドナーから採取された卵)を用いた治療は一般的になりつつあります。患者が提供卵子の使用を決断する理由は色々考えられますが、もっとも多いのは女性側の卵巣予備能の低下や高齢化、あるいはその両方の要因によるものでしょう。その他にも同性カップルや独身女性、採卵術が禁忌である女性や遺伝的疾患の保因者である女性等が提供卵子の使用を選択する可能性があります。

提供卵子の使用を希望する方々には複数の選択肢があります。

  1. エッグバンクの利用:エッグバンク通じて凍結卵子を入手することが出来ます。患者は匿名のドナーのプロファイルを閲覧することができます。提供をお願いしたいと思えるドナーが見つかったら、患者自身が治療を希望するクリニックに卵子を移送することができます。そこで卵子と精子を受精させた後、患者自身の子宮に移植します。この選択肢の長所は、移植までの時間を短縮できることと費用を抑えられる事です。※米国での選択肢です。
  2. エージェントの利用:患者はエージェントを通じて匿名ドナーのプロファイルを調べることができます。クリニックの中には独自にドナーを集め、エージェント同様に匿名ドナーのプロファイルを調べる事ができるところもあります。提供をお願いしたいと思えるドナーが見つかったら、ドナーはIVFの処置を受け、ある特定の採卵周期で得られた卵子の全てがレシピエントに寄贈されます。一般的には、採卵と同時に全ての卵子に対して受精が行われます。受精卵は新鮮胚移植(採卵後5日で移植)または凍結胚移植(一旦凍結し、後日移植される)サイクルで患者自身に移植されます。この選択肢の長所は、高い成功率に加え、凍結保存可能な胚が多いことです。遺伝的につながりのある兄弟姉妹を期待できたり、着床前遺伝子検査受けたりといった可能性が拡がります。
  3. 指定ドナーという選択:患者は友人または家族を指定してドナーとすることができます。指定されたドナーは、患者自身が選択したクリニックでスクリーニングを受けます。この場合、医師が指定ドナーの年齢と生殖能力を勘案し、卵子提供の成功の可能性について検討し、カウンセリングが行われるのが一般的です。その後、ドナーは体外受精に進みます。受精と移植のプロセスは匿名で行われるエージェントのドナーの場合と同じです。このオプションの長所は、費用が大幅に抑えられる(ただし凍結卵子バンクの利用時よりは高額となる場合があります)ことに加え、親しい人にドナーをお願いする事で安心感を得られるところです。指定ドナーサイクルの成功率は、そのドナーの特性に大きく依存します。

ドナー選択およびドナーの採卵周期が完了すると、患者は移植周期に入ります。移植周期では通常、子宮内膜の状態を確認するために複数回の超音波検査を行いながら、指示された期間/量のエストロゲン(黄体ホルモン)を服用します。子宮内膜が移植に適した厚さに達したら、プロゲステロンを処方し、プロゲステロン曝露の6日目に胚移植を行います。

卵子提供者とレシピエントの年齢に基づいて算出される、胎児の異数性リスク値が異なる事を除けば、体外受精による妊娠経過管理において、提供卵子か自己卵かによる違いはありません

記事監修者

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”この記事は、Fertility Instutute of HawaiiのDr. Frattarelli, Dr. Karmon, and Dr. Gouletの許可を得て転載されています。”

This article has been reposted with the permission of Dr. Frattarelli, Dr. Karmon, and Dr. Goulet at the Fertility Institute of Hawaii.