採卵が難しいと感じたときに知っておきたい原因と解決策
体外受精を進める過程で採卵数が少ないという課題に直面した際、不安になる方も少なくありません。しかし、採卵数が少ない場合でも、適切な治療法やアプローチを選択することで、妊娠の可能性を高めることは十分に可能です。
本記事では、採卵数が少なくなる原因や、治療への影響、成功率向上につながる方法を分かりやすくご紹介します。ご自身に合った治療を見つけるための参考にしてください。
採卵数が少ない原因と治療への影響
体外受精において、採卵数少ない場合でも状況に応じた適切な治療やアプローチがあります。まずは、採卵数が少なくなる原因からみていきましょう。
採卵数が少なくなる主な原因とは?
採卵数が少なくなる要因は様々ですが、主に以下のような原因が挙げられます。
1.年齢的な要因
年齢が上がると、卵巣の機能や卵子の数が減少する傾向があります。特に40代以降になると、卵胞の数が少なくなり、卵子の質も低下するため、採卵数が減ることがあります。
また、早発閉経という特別な状態では、一般的な加齢よりも早く卵巣機能が低下することがあります。
2. ホルモンバランスの乱れ
生活習慣の乱れやストレスはホルモンバランスに影響を与え、結果として採卵数が減る場合があります。特に不規則な睡眠や栄養の偏り、精神的な負担は、卵巣の働きに影響を与えやすい要因とされています。
3.治療法の影響
排卵誘発剤を使う治療法では、刺激の強さが採卵数に影響を与えることがあります。過剰に刺激する方法では、多くの卵子が採れることを期待できますが、卵巣に負担がかかることもあります。
一方で、低刺激法は卵巣への負担を軽減しますが、採卵数が少なくなる傾向があります。また、抗がん剤の使用歴がある場合、卵巣の機能が低下していることも考えられます。
4.ストレス
慢性的なストレスは血流を悪化させ、卵巣への栄養供給が不十分になることがあります。また、締め付けの強い衣類も採卵数に影響を与える可能性があります。
「数が少ない=チャンスが少ない」?
採卵数が少ないと聞くと不安に感じるかもしれません。しかし、妊娠に必要なのは1個の質の良い卵子です。そのため、数よりも質が重要です。少ない採卵数でも妊娠につながった事例は多く報告されているため、数に一喜一憂せずに自分に合った治療法を見つけると良いでしょう。
採卵数を増やすためにできる取り組み
前述の通り、数が少ないことは必ずしも問題ではありません。しかし、採卵数を増やすため工夫できることはあります。
卵巣刺激法(高刺激法)やトリガー調整
卵巣刺激法には「高刺激法」と「低刺激法」があります。低刺激法は薬剤の使用量を抑え、体への負担を軽減しつつ採卵を行う方法ですが、得られる卵子の数が少なくなる可能性があるため、ここでは高刺激法を取り上げます。
高刺激法とは
高刺激法は、排卵誘発剤を使用して採卵数を増やすことを目的とした方法です。通常の月経周期では1個の卵子しか育たないのに対し、排卵誘発剤を使用すると複数の卵子を育てることが可能になります。この方法では、注射や内服薬を使用して卵胞を刺激し、発育を促します。
ただし、過剰に刺激を行うと卵巣に負担がかかることがあります。そのため、医師が個人の体質や卵巣機能に合わせて薬剤の種類や量を調整します。
トリガー調整で卵子の成熟度を高める
トリガーとは、卵子を成熟させるために使用する薬剤のことです。排卵のタイミングを人工的に管理することで、卵子の成熟度を高めることができます。未成熟な卵子は受精が難しく、胚として成長しにくいため、採卵時にはなるべく成熟した卵子を確保することが重要です。トリガーの種類や投与タイミングを工夫することで、未熟卵や空胞を減らし、成熟した卵子を採取できる確率を上げられます。
生活習慣の見直し(睡眠・食事・サプリなど)
採卵数を増やすためには、ホルモンバランスを整え、卵巣の働きをサポートすることが大切です。そのためには、日々の生活習慣を見直し、身体の内側から健康を整えられるよう意識しましょう。
質の良い睡眠をとる
睡眠不足はホルモンバランスを乱しやすく、生殖機能にも影響を与えます。生殖に関わるホルモンの分泌は夜間に活発になるため、しっかりと睡眠を取ることが重要です。特に22時から翌2時は、ホルモン分泌にとって大切な時間帯とされています。
栄養バランスの取れた食事を心がける
卵巣の働きをサポートするためには、栄養のバランスを意識した食事が必要です。タンパク質や抗酸化成分が含まれる食品を積極的に摂ることで、体内の細胞が正常に働きやすくなるでしょう。
サプリメントを活用することで、妊娠に必要な栄養を補助することも可能です。特に、葉酸は胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減するため、妊娠前から摂取が推奨されています。ビタミンDは、ホルモンバランスを整える働きがあり、卵巣機能にも関わるため、適切に補うことが望ましいとされています。
ストレス・メンタルケアでホルモンバランスを整える
ストレスはホルモンバランスに影響を与え、採卵数の増減にもつながります。リラックスする習慣を意識的に取り入れるようにしましょう。
ストレスが卵巣機能に与える影響
ストレスを感じる状態が続くと、自律神経が乱れて血流が悪くなります。その結果、卵巣への栄養供給が妨げられる場合があります。ストレスを軽減することは、ホルモンバランスを整え、卵巣の働きを保つためにも大切です。
ヨガや瞑想でストレスを軽減
ヨガや瞑想は、心を落ち着ける効果が期待できる方法です。定期的に行うことで、リラックスしやすい状態を作れます。また、必要に応じてカウンセリングを受けることもストレス解消に役立ちます。
リラックスできる服選びも大切
締め付けが強い下着や服を避け、リラックスできる衣服を身につけることも大切です。
ゆったりした衣類を選ぶことで、血流が良くなり、体全体の調子が整いやすくなります。
日々の生活習慣を見直し、医師と連携を取りながら適切な治療を進めることで、採卵数を増やせる可能性があります。体調管理を意識しながら、できることから始めてみましょう。
採卵数が少なくても成功率を高める治療法
治療の工夫や技術の活用で妊娠の可能性を広げることができます。卵巣への負担を軽減しながら成功率を高める低刺激法をはじめ、最新技術を活用した選択肢を解説します。診察や結果に応じて医師からあなたにあった治療方法を案内されますが、具体的にどのような治療か理解しておくと良いでしょう。
低刺激法について
低刺激法は、排卵誘発剤を少量使用することで卵巣への負担を抑えながら、質の良い卵子を育てる方法です。従来の高刺激法に比べて副作用や体への負担が少ないため、繰り返し治療を受ける場合にも適しています。また、高刺激法よりも1回の採卵数が少なくなることがありますが、採取した卵子の質を重視します。
高刺激法との違い
高刺激法は採卵数を増やすことを目的としており、排卵誘発剤を多く使うため、卵巣に負担がかかる場合があります。一方、低刺激法は体への負担を減らし、自然に近い形で卵子を育てます。どちらの方法を選ぶかは、体調や治療目標に応じて判断されます。
低刺激法が適したケース
低刺激法は、年齢が高い人や卵巣機能が低下している人に向いています。卵巣の負担を軽減しつつ、質の良い卵子を採取することで妊娠の可能性を高めることが期待されます。また、過去に高刺激法で体調を崩した経験がある場合にも選ばれることが多い方法です。
新しい技術を活用した他の治療選択肢
近年の生殖医療の進歩により、少ない採卵数から妊娠の可能性を高める技術が増えています。医師と相談しながら、治療の選択肢を広げていきましょう。
顕微授精(ICSI)の活用
顕微授精は、採取した卵子に1つの精子を直接注入して受精を促す技術です。精子の数が少ない場合や運動性が低い場合でも、受精率を高めることができます。特に採卵数が少ない場合には、この技術を用いることで受精の可能性を引き上げることが期待されます。
タイムラプス培養法
タイムラプス培養法は、胚の成長過程を連続して観察できる技術です。この方法では、胚の成長を細かく確認し、良好な状態の胚を選んで移植することができます。適切な胚を選ぶことで、移植後の成功率が向上します。
卵子凍結
卵巣機能が低下する前に卵子を凍結保存することで、将来的に使用することが可能です。特に年齢が若い段階で凍結保存を行うと、質の良い卵子を保管できます。妊娠を先延ばしにしたい場合や治療に時間をかけたい場合に役立つ選択肢です。
医師との相談で最適な治療を受けましょう
どの治療法が適しているかは、医師が診察や検査結果をもとに判断します。そのため、自身の体調や希望を医師にしっかりと伝えましょう。
また、治療の内容を理解し、納得したうえで進めることも大切です。医師と相談しながら、自分の状況に合った治療方針を確認することで、安心して治療に臨みやすくなるでしょう。
採卵数が少ない場合でも、多様な治療法や技術を活用することで成功の可能性を高めることができます。医師との話し合いを大切にしながら、自分に合った治療を見つけていきましょう。
未来を見据えた治療計画の立て方
不妊治療を進める中で、時間や費用、さらには人生全体の計画を考えることが重要です。治療の進め方や費用の見通しを明確にすることで、心身の負担を軽減できます。ここでは、治療費や期間の計画、治療以外の選択肢、卵子提供という新しい可能性について解説します。
治療費や期間を見通すための計画術
目安となる治療期間を設定する
40代の不妊治療では、年齢に伴う卵巣機能の低下を考慮し、具体的な期間を設定することが大切です。一般的に、45歳を超えると治療を受け付けていない医療機関もありますが、45歳以降でも可能性がゼロになるわけではありません。治療を辞めて、プレッシャーから解き放たれたら自然妊娠をしたという方もいらっしゃいます。一度立ち止まり、治療の成功率や体への負担を理解した上で治療の継続可否を判断することも大切です。
治療を継続する際には、自分がどのくらいの期間と予算を使って取り組むのかをあらかじめ決めておくと、少なからず気持ちに余裕が生まれます。医師と相談しながら、現実的な目標を設定しましょう。
補助金や保険制度を活用する
治療費の負担を軽減するために、国や自治体の補助金や保険制度を活用しましょう。例えば、東京都では保険診療と併用して実施される先進医療(タイムラプス培養法やERA検査など)の費用の一部を助成しています。助成金の上限額は1回につき15万円(費用の70%)で、回数は保険診療に準じます。
各自治体による助成金制度の詳細は、自治体ごとのウェブサイトで確認する必要があります。自治体によって助成対象や金額、条件が異なるため、自分の住む地域の制度をしっかり調べることが大切です。
参考:
東京都特定不妊治療費(先進医療)助成事業の概要
「令和4年4月から、不妊治療が保険適用されています。」(厚生労働省)(https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/bef0ee9a-c14d-4203-b02b-051adf80f495/cf3a6623/20230401_policies_boshihoken_funin_01.pdf)より加工して作成
その他の選択肢も考える
人生の楽しみ方を見直す
不妊治療は重要な取り組みですが、それだけに集中すると精神的な負担が大きくなることもあります。キャリアや趣味、夫婦関係の充実を目指すことで、治療の結果に左右されない人生の楽しみ方を見つけられる場合があります。
趣味や新しい挑戦を通じて充実感を得ることや、夫婦で旅行やイベントを計画するなど、治療以外の活動に目を向けることもおすすめです。こうした活動は、心の安定を保つ助けになります。
不妊治療を終えた場合の選択肢
治療を続ける中で結果が得られなかった場合、里親制度や養子縁組など新しい家族の形を考える方もいます。また、治療を一区切りとし、自分たちの生活を大切にする道を選ぶ人もいます。
自分たちの価値観や希望をもとに、どのような人生設計を描きたいかを話し合うことが重要です。周囲の事例や専門家の意見を参考にしながら、自分たちに合った選択を考えましょう。
卵子提供という新しい選択肢
卵子提供とは、他の女性から提供された卵子を使って妊娠を目指す治療法です。自分の卵子が十分に育たない場合や年齢の影響が大きい場合に選ばれることがあります。
卵子提供を利用すると、自然妊娠が難しい場合でも妊娠の可能性を広げられる可能性があります。提供された卵子を使って受精卵を作り、子宮内に移植することで妊娠を目指します。
実際に卵子提供を受けて妊娠に成功した事例も多く、心強い選択肢の一つです。ただし、卵子提供を行っている医療機関は限られており、詳細は専門クリニックや医師に相談する必要があります。
メディブリッジの公式サイトでは、実際に卵子提供を通じて希望を見出した方々の体験談をご紹介しています。同じように悩み、迷った方々がどのように未来を切り開いたのかを知ることは、次の一歩を考える大きな助けになるかもしれません。
ぜひ一度、彼女たちの声に耳を傾けてみてください。それが、あなたの選択肢を広げるきっかけになるかもしれません。
将来を見据えて計画を立てましょう
体外受精で採卵数が少なくても、原因は年齢やストレスなど多様で、対策も豊富です。生活習慣の改善や低刺激法、顕微授精などを取り入れれば妊娠の可能性は十分に高まります。さらに、卵子提供といった新たな選択肢や費用計画、ライフプランを総合的に検討すれば、心身の負担を減らしながら前向きに治療を進められます。適切な方法を選ぶことで、より明るい未来を見据えられるでしょう。