不妊治療のやめどきとは?タイミングを決めるヒントをご紹介
不妊治療の成果が中々出ない場合、続けるかやめるべきか悩んでいる方は少なくありません。本記事では、不妊治療をやめる時期を決めるための4つのポイントについて、年齢、体力、経済面、精神的な要素など、専門家の意見を交えながら具体的に解説します。この記事を最後までご覧いただき、後悔のない決断にお役立てください。
【目次】
■不妊治療をやめるかどうかの参考となる、4つのポイント
・年齢と成功率の関係
・医師の診断を基にした判断
・体力や健康状態の変化
・経済的負担と今後の生活設計
■不妊治療をやめる際は心の整理を
・夫婦間の意見の一致を図ることが大切
・感情的な負担を軽減しよう
■やめることは諦めではない
■それでも子供を持ちたい・・他の選択肢とは
・卵子提供
・養子縁組
・代理出産
■後悔しないために、今を見つめる
不妊治療をやめるかどうかの参考となる、4つのポイント
不妊治療をやめるかどうか迷っている人は、以下の4つのポイントを参考に判断しましょう。
・年齢と成功率の関係
・医師の診断を基にした判断
・体力や健康状態の変化
・経済的負担と今後の生活設計
以下でそれぞれについて詳しく解説します。
年齢と成功率の関係
女性は加齢に伴って卵子の発育状態が低下します。自然妊娠や体外受精の妊娠率が下がっていくのが一般的です。妊娠率は35歳以降から減少し始め、40代半ばになると10%未満にまで落ち込みます 。体外受精のために複数の卵子を採取できたとしても、妊娠率が上がるわけではありません。こうした状況から治療の効果を実感できずに、不妊治療の中止を検討する方がいらっしゃいます。特に45歳以上になると妊娠率が約1%まで低下するため、医師から治療の中止を提案されることもあるでしょう。
参考:令和2年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業「不妊治療の実態に関する調査研究 最終報告(https://www.mhlw.go.jp/content/000766912.pdf)(厚生労働省)より加工して作成
医師の診断を基にした判断
治療が思うように進まない場合、医師から治療の限界を伝えられる可能性もゼロではありません。こうした際には、治療方針や進め方などを見直すひとつのタイミングとなります。医師のアドバイスを基に不妊治療を続けるべきかやめるべきかを慎重に決定しましょう。
体力や健康状態の変化
治療のために使う薬や手術は、少なからず体に負担がかかります。採卵を促すホルモン剤の副作用として、「卵巣過剰刺激症候群」を発症し、以下のような症状が現れる可能性があります。
・吐き気
・お腹の張り
・卵巣の腫れや出血
・血栓塞栓症
・腹水や胸水が溜まることによる呼吸困難(重症の場合)
さらに、採卵手術は局所麻酔か全身麻酔で行われますが、手術後は痛みや不快感があります。また、高齢になるほど出産後に高血圧や糖尿病などの持病リスクが増え、妊娠により母体にかかる負担も増える傾向にあります。体が耐えられないと感じるときは、医師と相談しながら不妊治療の中止を考え始めるポイントになります。
経済的負担と今後の生活設計
体外受精や顕微授精は1回あたり数十万円かかるため、現在の収入や貯蓄などから判断し、生活設計を見直す必要もあるでしょう。保険が適用されますが、女性が治療開始時に43歳未満であることが条件で以下の回数制限もあります。
・40歳未満は1子につき胚移植6回まで
・40歳以上、43歳未満は1子につき3回まで
また、治療は通院回数が多く、1回の通院に数時間かかるため、日常生活や仕事との両立が容易ではありません。
平成29年度の厚生労働省の調査によると、不妊治療のために、働く女性の43%が、以下の選択肢をとっており、収入にも少なからず影響を与える可能性も考えられます。
・仕事を辞める
・雇用形態を変える
・不妊治療をやめる
改めて、今後の家計や生活設計について、夫婦で相談する機会を設けるといいでしょう。
参考:働く女性の心とからだの応援サイト「不妊治療」(https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/infertility.html)(厚生労働省)より加工して作成
不妊治療をやめる際は心の整理を
不妊治療をやめることは、夫婦にとって大きな決断です。納得できる決断のためには、お互いの心の整理が欠かせません。治療をやめると決めた際には、自分自身を責めず、これまでの過程を肯定的に考えることが大切です。本章では、夫婦で相談する大切さや、感情の負担を軽減する手段を解説します。
夫婦間の意見の一致を図ることが大切
不妊治療をやめると、精神的に大きな負担を伴うため、夫婦の支え合いが欠かせません。後悔や不満が残らないよう、お互いの不安や悩みを正直に伝え合い、共通の理解を持つことが大切です。
また、どちらか一方の意見に偏らず、お互いが納得できる選択をして、これからの夫婦生活に目を向けていきましょう。さらに、今後の治療費が家計にどれくらい影響するのかを考慮すると、現実的に判断しやすくなります。
感情的な負担を軽減しよう
治療を中止すると、悲しみや喪失感などの感情が沸き起こる場合があります。これまでの頑張りや治療費を無駄にしたような感覚になり、精神的な負担を抱え込んでしまいがちです。そのようなときは、夫婦での旅行や趣味など、リラックスできる時間を作り、心身のリフレッシュを優先しましょう。
なかなか負担を解消できない場合は、不妊治療や流産を経験した「ピアサポーター」との相談も効果的です。ピアサポーターは同じ不妊治療の経験者として、不安に寄り添い、精神的な負担を緩和してくれます。
やめることは諦めではない
不妊治療をやめることは、必ずしも失敗や諦めではありません。不妊治療を通して感じた、身体的・精神的負担や、夫婦で共有した辛さは、この先の夫婦生活を送る上で、お互いの結びつきを強めてくれるはずです。
これまで治療に費やしてきた時間を、夫婦二人の生活に使うことで、別の形の幸せを見つけられる可能性もあります。治療をやめることは、新たな一歩であるとも考えられるでしょう。
それでも子供を持ちたい・・他の選択肢とは
子供を持ちたいと願いながらも、不妊治療で効果が出ない場合、以下の方法によって子供を持つことができます。
・卵子提供
・養子縁組
・代理出産
ただし、日本では法整備が不十分な場合があり、規制への注意が必要です。
あくまで検討材料の一つとして、以下を参考にしてください。
卵子提供
卵子提供は、他の女性から提供された卵子を使用して、妊娠を目指す治療方法です。特に、高齢や卵巣機能の低下により、自分の卵子が使えない場合に選択されます。
卵子提供は国内外で実施可能ですが、日本国内では法整備が不十分であり、実施を公表している施設が少ないため、海外での実施が一般的です。しかし、海外での治療は渡航費がかかる他、現地の法律や規制の理解も必要であり、専門家に頼る必要があります。以上の点から、卵子提供は慎重に検討すべきです。
養子縁組
養子縁組は、血縁関係のない子供を迎え入れ、法律上の親子関係を築く方法です。養子を迎える際には、心理的・経済的な準備が必要になります。
心理面では、養子の背景や特性を理解し、受け入れる姿勢が求められます。また、将来的に養子であることを伝える可能性も考慮しなければなりません。経済面では、教育費や生活費など、子供を育てるための家計を整えることが重要です。
日本では2種類の養子縁組が存在し、それぞれ手続きや規定が異なります。
以下の表で違いを紹介します。
普通養子縁組 | 特別養子縁組 | |
縁組の成立 | 養親と養子の同意により成立 | ・養親の請求に対し家裁の決定により成立・実父母の同意が必要(ただし、実父母が意思を表示できない場合や実父母による虐待など養子となる者の利益を著しく害する理由がある場合は、この限りでない) |
要件 | ・養親:成年に達した者 ・養子:尊属又は養親より年長でない者 | ・養親:原則25歳以上(夫婦の一方が25歳以上であれば、 一方は20歳以上で可) 配偶者がある者(夫婦双方とも養親) ・養子:原則、15歳に達していない者 子の利益のために特に必要があるときに成立 |
実父母との親族関係 | 実父母との親族関係は終了しない | 実父母との親族関係が終了する |
監護期間 | 特段の設定はない | 6月以上の監護期間を考慮して縁組 |
離縁 | 原則、養親及び養子の同意により離縁 | 養子の利益のため特に必要があるときに養子、実親、 検察官の請求により離縁 |
戸籍の表記 | 実親の名前が記載され、養子の続柄は 「養子(養女)」 と記載 | 実親の名前が記載されず、養子の続柄は「長男(長女)」 等と記載 |
参考:「普通養子縁組と特別養子縁組について」(https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/f33696fb-1ccf-416e-9eff-0724df1bab11/dd15fe97/20230401_policies_shakaiteki-yougo_tokubetsu-youshi-engumi_01.pdf)(こども家庭庁)より加工して作成
このように、養子を迎えるためには心構えと長期的な家計の計画が欠かせないため、乗り越えなければならないハードルが多くなります。また「里親研修」という、座学と実習の受講が義務化されており、時間的な余裕も必要です。自治体によって期間は異なりますが、5日間前後かかり平日開催の場合は有休をとるなど、柔軟な対応が求められます。
代理出産
代理出産は、代理母が依頼者の代わりに妊娠・出産を行う方法です。日本国内では代理出産が公的に認められておらず、海外での実施が一般的となります。
また、子供の国籍取得のために「胎児認知」の手続きが必要です。「胎児認知」は父との親子関係を成立させる目的で、出産前に父の本籍地へ届け出なければなりません。日本国籍を取得したあとにも、法的に親子関係が認められるためには、養子縁組を成立させる必要があります。このように、代理出産は複雑な工程があるため、法律家のアドバイスが欠かせません。
後悔しないために、今を見つめる
最後に、やめどきを決める際には「後悔しないかどうか」をしっかりと考えることが大切です。後悔のないよう、自分の気持ちに向き合い、周りのサポートを受けながら進んでいってください。
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