卵子ドナー選びの要点を徹底解説! 出自開示から健康状態まで押さえるべきポイント

卵子提供を検討する際、ドナーの選択は慎重に行う必要があります。健康状態や遺伝的背景、外見の特徴、さらには将来的な出自開示への対応など、検討すべき点が多岐にわたるためです。

本記事では、ドナーの種類や選び方の基準を具体的に解説し、適したドナーを見極めるためのポイントを分かりやすくご紹介します。卵子提供を安心して進めるための参考にしてください。

ドナー選びの基本|何を基準に考えるべきか

ドナー選びの前には、卵子提供を受けるためのカウンセリングや健康診断を行い、その後、希望する条件に合ったドナーを探す段階に進みます。ここでは、ドナー選びにおいて何を基準に考えるべきかを解説します。

外見が似ているかどうか

多くの希望者は、自分たちに外見が似ているドナーを望む傾向にあります。血液型や髪・顔立ちなど、可能な範囲で希望に沿ったドナーを選ぶことで、生まれた子どもが自分たちにより近い容姿になることを期待できます​。

例えば台湾の卵子バンクでは、レシピエント(提供を受ける側)の希望に合わせて外見(髪の毛や顔の形など)の条件に合う若い女性ドナーを紹介する仕組みがあります​。

将来、出自を知る権利に同意してくれるかどうか

日本のガイドラインでは、本来ドナーは匿名としつつも生まれた子どもにはドナーを特定できる情報の開示請求権(出自を知る権利)を認めるとの見解が示されています​。

このため、将来生まれた子供がドナーの情報を知りたいと望んだとき、ドナーが身元開示に応じる意思があるか確認できると安心です。出自を知る権利は子どもの福祉に関わる大切な問題であり​、ドナー選びの際に考慮したいポイントの一つです。

健康状態や生活習慣に問題がないか

ドナーが心身ともに健康であることは絶対条件です​。提供者の年齢は一般的に20代が理想とされ、喫煙習慣がないなど健康的な生活を送っている方が選ばれます​。感染症の有無や遺伝性疾患の有無についても事前に厳しくチェックされている必要があります。

なお、卵子提供の過程では、約2週間にわたり毎日注射を受ける必要があるため、適切に対応できる方が選ばれることになります。依頼者としては、エージェントやクリニックがこの点をどのように管理しているかを確認しておくとよいでしょう。

遺伝的な背景に懸念がないか

ドナーやその家族に遺伝性の疾患や懸念がないかも確認しましょう。提供された卵子の遺伝情報は子どもに受け継がれるため、家族歴に重大な遺伝病がないか、必要に応じて遺伝カウンセリングを受けることが望まれます​。国内外の卵子提供プログラムでは、提供前にドナーの遺伝子検査や家族の病歴チェックを行っているケースが一般的です​。

メンタルが安定しているかどうか 

卵子提供はドナーにとって身体的・精神的負担を伴うプロセスです。ドナー本人のメンタルが安定しており、提供の意味を十分に理解・納得していることが大切です。日本では倫理指針により、提供を行う前に臨床心理士による複数回のカウンセリングを行うことが条件とされています​。

このように、信頼できるプログラムではドナーの精神面についても専門家が評価し、問題がないと判断された方だけが登録されます。ドナーが精神的に安定して協力的であることは、提供後のトラブル防止にもつながります。

卵子ドナーの種類

卵子ドナーにはいくつかの分類があります。それぞれ特徴や手続きの違いがあるため、違いを理解して自分たちに適した方法を選ぶ必要があります。

1. 匿名ドナーとオープンドナー

匿名ドナー

匿名ドナーとは、ドナーの身元を非開示とする提供形態です。日本では倫理的配慮から、従来「第三者の精子・卵子・胚を提供する場合には匿名とする」との原則が示されてきました​。

・メリット

匿名提供のメリットとしては、ドナーと受ける夫婦・子どもとの間に個人的な関係が生じないため人間関係のトラブルを避けやすいこと、ドナーのプライバシーが保護されることが挙げられます​。

・デメリット

一方、将来的に子どもが生物学上の出自を知ることが難しくなる点がデメリットです。生まれた子が自らの遺伝的ルーツを知りたいと望んだ場合でも、匿名制度では情報開示が困難であり、これは子どもの心理的福祉の観点から課題とされています​。

オープンドナー

オープンドナーとは、将来子どもが希望すればドナーの身元情報を開示することに同意したドナーのことです。欧米では、子どもの出自を知る権利を尊重する流れが強まり、イギリスなどではドナーの情報を長期保存し、成人後に開示請求できる制度が整備されています。

・メリット

オープンドナーの最大の利点は、生まれた子が将来、自身のルーツを知る手がかりを得られることです。これにより、自分の出自に関する疑問を解消しやすくなり、アイデンティティの確立につながると考えられています。

・デメリット

一方で、ドナーのプライバシー負担が増えることや、将来的にドナーと子どもが連絡を取ることで、関係が複雑になる可能性があります。例えば、子どもがドナーとのつながりを求めた場合、ドナーや育ての親との関係に影響を与えることも考えられます。そのため、提供時には「子どもへの告知」や「将来的な連絡の可否」について、ドナーとレシピエント夫婦の間で十分な話し合いが必要になります。

日本では長らく匿名提供が原則とされてきましたが、子の福祉優先の観点からは顕名ドナーの方が望ましいとの議論も強まっています​。実際、国内で非配偶者間の卵子提供を行う場合、現状では多くが親族(姉妹)など身元が分かっているドナーによって行われており、完全匿名の第三者ドナーによる提供例は非常に少ない状況です​。

匿名・顕名それぞれにメリットやデメリットがありますが、子どもの将来とドナー・家族のプライバシーのバランスを考えて選択することが重要です。

2. 海外ドナーと国内ドナー

海外ドナー

メリット

海外では卵子提供の法制度やドナー登録システムが整備されており、豊富なドナー候補から選択できるのが大きな利点です。特にアメリカや欧州諸国では、商業的エージェントや卵子バンクが充実しており、若く健康な第三者ドナーが多数登録されています。

・デメリット

一方で、海外ドナーを利用する場合、費用と手間が大きいことが課題です。専門エージェントを通じて提携先の国へ渡航し、現地クリニックで採卵・移植を行う必要があり、エージェント料や渡航費を含めると高額な費用がかかるのが一般的です。
また、渡航が必要な場合、仕事や生活への影響も考慮しなければなりません。

国内ドナー

・メリット

国内ドナーの場合、言語や文化の違いを心配する必要がなく、移植のために海外渡航する必要もありません。また費用面でも、もし身近にドナーが見つかれば実際の体外受精にかかる医療費(数十万円程度​)のみで済み、海外に比べれば低コストです。

・デメリット

最大の課題は、ドナーを見つけること自体が困難である点です。日本では、長年にわたり非配偶者からの卵子提供が自主規制されてきたため、匿名ドナーの登録制度や卵子バンクがほとんど整備されていません

そのため、国内で卵子提供を希望する場合、親族(姉妹など)や知人にドナーをお願いするケースが中心です。実際、JISART(日本生殖補助医療標準化機関)のガイドライン下で2007~2018年に実施された83件の非配偶者間体外受精のほとんどが、兄弟姉妹からの提供だったと報告されています。

エージェント選びも重要|信頼できる仲介機関の見極め方

卵子提供を実現するには、信頼性の高い仲介エージェントを選ぶことが不可欠です。エージェント選びのチェックポイントを解説します。

ドナー情報の開示範囲

エージェントによって、ドナーに関する情報開示の程度は様々です。信頼できるエージェントは、ドナーのプロフィールをできるだけ詳しく提供してくれます。具体的には、年齢や人種・国籍、血液型、身長体重、学歴や趣味、そして提供可能な範囲での顔写真などの情報を見せてもらえるかが重要です。

一方で情報開示が乏しいエージェントは、ドナー選択に不安が残るため避けたほうが無難です。どの程度の情報が事前に提供されるのかを確認しましょう。

サポート体制の充実度

不妊治療や海外医療の知識がない中で卵子提供に臨むのは心配が多いものです。エージェントのサポート体制がどれだけ充実しているかを確認しましょう。​

例えばスタッフが生殖医療について専門知識を持っているか、日本人スタッフが現地で付き添ってくれるか、渡航や書類手続きのサポート、提供後のフォローアップ(妊娠判定後のサポートや産科への引き継ぎなど)があるか、といった点です。

​。また、海外提携先で日本語の通じるスタッフがサポートしてくれるエージェントなら、言葉の壁を心配せず治療に集中できます​。サポート体制が手厚いエージェントほど、初めての卵子提供でも安心して任せられるでしょう。

過去の実績と成功例

エージェントの信頼性を測る上で、過去の実績(取り扱い件数や成功率)重要な指標です。創業からの年数や、これまでにサポートした夫婦の数、出生に至った例などのデータを公開しているか確認しましょう。

過去の利用者の口コミや体験談が公表されているかも参考になります。

費用の明確さ

卵子提供は高額の費用がかかるため、料金体系が明確であることも信頼性の重要ポイントです。契約前に見積もりを提示してくれるか、費用に含まれるサービス内容(ドナー謝礼、医療費、渡航費、エージェント手数料など)が詳細に説明されているかを確認しましょう。

日本法人として活動しているか

海外の卵子提供エージェントの中には、日本に正式な拠点を持たずインターネット上だけで仲介する業者も存在します。トラブル発生時の対応や法的保護の観点から、できれば日本国内に法人登記されオフィスを構えるエージェントを選ぶことをおすすめします。日本法人であれば契約書も日本語で交わすことができ、万一の場合も国内法に基づいて対処できます。国内オフィスがあることで直接相談に行ける安心感や、日本の会社としての透明性・ 信頼性も期待できます。

おさらい: 納得できる卵子提供を行うためのポイント 

ここでは、納得のいく卵子提供を行うための具体的なポイントを整理し、最適な選択をするための指針を提供します。

条件の優先順位を決める

卵子提供においては、ドナーの健康状態、遺伝的背景、外見、メンタル面、さらに将来子どもが出自を知る権利に関する対応など、さまざまな要素を考慮する必要があります。

しかし、すべての条件を完璧に満たすドナーを見つけるのは非常に困難です。そのため、まず自分たちにとって最も重要なポイント―例えば、健康状態や遺伝リスク、外見の一致度、または将来的な出自情報の開示など―を明確にし、各条件の優先順位を決めることが、納得できる卵子提供を実現するための第一歩となります。

エージェントの実績を確認する

卵子提供のプロセスは、ドナー選定から治療、さらにその後のフォローアップまで多岐にわたります。実績が豊富なエージェントは、過去の成功例や利用者の口コミをもとに、信頼性の高いサービスを提供しているといえます。エージェントの実績をしっかりと確認することで、トラブルを避け、安心して治療を進めることが可能になります。

具体的には、実際に何組のご夫婦が成功しているのか、エージェントが提供するサポート体制やドナー情報の開示の詳細度、そして契約前の説明内容などをしっかりと確認することが大切です。

その他に考えておくべきこと

将来生まれた子どもが自分のルーツを知りたいと感じる可能性も十分に考慮しておく必要があります。

匿名ドナーの場合、ドナーの情報が原則として非開示となるため、子どもが出自を知る権利に制限が生じる一方、顕名ドナーであれば将来的に情報が開示される可能性が高まります。どちらの方式が自分たちや将来の子どもにとって望ましいかを、事前に家族や専門家とよく話し合って決めておくことが、後々の安心につながります。

まとめ

ドナー選びでは、健康状態や外見、将来の身元開示など多様な要素を考慮し、優先度を明確にすることが大切です。エージェントの実績やサポート体制も事前に確認し、家族や専門家とよく相談した上で納得のいく決定を目指しましょう。最終的には子どもの福祉を最優先に考え、出自を知る権利への配慮や、ドナーとの関係性についても十分に検討しましょう。

たちメディブリッジは、東京都品川に拠点を置く信頼と実績のある卵子提供・代理出産エージェントです。自社で日本最大級の卵子バンクを運営しており、常時400名以上、累計1500名程度の卵子ドナーが登録されています。

また、治療費やスケジュール、渡航手配など個別の事情にも柔軟に対応しています。疑問や不安がある方は、まずは公式サイトからお問い合わせください。