ゲノム編集
昨年の秋ごろ、中国においてゲノム編集を経て赤ちゃんが生まれています。この赤ちゃんの父親はHIVに罹患していて、生まれてくる子にHIV耐性を持たせるためにゲノム編集を決断したそうですが、人の受精卵をゲノム編集して挙児にいたった初めての事案であったので、研究者への激しい非難が起きました。
ゲノム編集では、ゲノムの特定部位で外因性の遺伝子を追加・挿入、遺伝子変異を修正、削除します。つまり、異常がある遺伝子や標的とした遺伝子を修復したり排除、標的とした遺伝子や導入された遺伝子の発現を制御したりします。
まして生まれてきた子供が編集した通りの耐性を備えているかは、子供が大きくならないとわからないはずです。
試みが失敗した時、農作物等であればその失敗さえ貴重なデータであり、次に生かすと考えれば済みますが、赤ちゃんだとしたら…。
生まれてきた子供のことを考えると、最低限、社会的に納得・許容できる環境とルールを整えたうえで、技術開発の研究を進める必要があるのではないかと思うのです。
このような報道や、デザイナーズベイビーなどという呼び方で、ご夫妻が理想とする容姿、学歴などを追及するかの如き卵子提供があるという情報に触れると、ふと、弊社メディブリッジの卵子提供プログラムの将来について考えてしまいます。
それでも、ご夫妻はドナーの方の体を心配され、ドナーの方はご夫妻の為にと、食事に気を遣い、ご夫妻の幸せを祈るのです。我々を介して、ずっと、メールはお手紙のやり取りをしておられる方々もおられます。
ドナーの方は命と心の両方を、ご夫妻にもたらしていると感じます。
ご夫妻は命と心を受け取って、ドナーの方の気持の分も、生まれたお子さんへの愛情を注いでいるように見受けられます。
卵子提供の世界にゲノム編集が入り込んできたら、ドナーの方々は遺伝子ドナーとなってしまうのでしょうか? そう想像すると、少し恐ろしく、とても虚しいです。
私たちは 心を贈るプログラムを続けていきたいです。

