「国内完結型」の卵子提供とは? 2つのパターンの違いと流れ、メリット・デメリットを解説

最近、「国内完結型の卵子提供について知りたい」「海外に行かずに治療できるの?」といったお問い合わせが増えています。しかし一口に「国内完結型」と言っても、実は2つの異なるパターンが存在し、この違いを理解していないと、費用や準備、スケジュール感が想定と大きくズレてしまうこともあります。本記事では、それぞれのパターンの流れやメリット・デメリットをわかりやすく整理し、さらにメディブリッジがご提供可能なプログラムについても詳しくご紹介します。「自分に合った方法はどれ?」「安心して治療を進めたい」といった疑問解消にお役立てください。

【目次】

■「国内完結型」卵子提供 2つのパターンとそれぞれの特徴

・パターンA:胚輸送プラン(海外で採卵・受精し、胚を日本へ輸送)

・パターンB:日本国内での卵子提供(国内で採卵・移植)

■国内完結型(胚輸送プラン)の一般的な流れ

・ステップ1:カウンセリングとドナー選び

・ステップ2:ご夫妻の準備(精子凍結など)

・ステップ3:採卵と受精(海外で実施)

・ステップ4:受精卵(胚)の日本への移送

・ステップ5:日本国内での胚移植

■「渡航あり」と「国内完結(胚輸送プラン)」のメリット・デメリット比較

・国内完結(胚輸送プラン)を選ぶ理由・メリット

・国内完結(胚輸送プラン)のデメリット・注意点

・「渡航あり」プランを選ぶ理由・メリット

・「渡航あり」プランの注意点

■ご自身に合った治療法をご選択ください

・メディブリッジへのお問い合わせ

「国内完結型」卵子提供 2つのパターンとそれぞれの特徴

まずは、混同されやすい2つの「国内完結型」プログラムの違いについてご説明します。

パターンA:胚輸送プラン(海外で採卵・受精し、胚を日本へ輸送)

「胚輸送プラン」とは、ご夫妻は海外へ渡航せず、海外の提携クリニックで採卵・受精を行い、その後に作成された受精卵(胚)を日本国内へ輸送し、国内の医療機関で胚移植を行う治療方法のことです。

採卵に必要なホルモン刺激や採卵手術は、ドナー(提供者側)のみが海外で実施します。そのため、ご夫妻の身体的・時間的な負担を最小限に抑えられる点が大きな特徴です。輸送された胚は、国内の先進的な培養環境で管理され、受診されている医療機関で妊娠を目指すことができます。

この方法は、従来多かった「採卵のために海外へ渡航する必要がある治療」に比べ、仕事や家庭の都合がつきやすいことから、近年選ばれる方が増えています。また、日本国内で治療を継続できるため、妊娠後のフォローアップがスムーズに行えるという安心感もあります。

パターンB:日本国内での卵子提供(国内で採卵・移植)

このパターンは、ドナーの検索から採卵・受精・胚移植まで、すべて日本国内の医療機関で完結する方式を指します。ご夫妻が海外へ渡航する必要がなく、移植後のフォローも国内で行えるため安心感が高いという特徴があります。

しかしながら、現状の日本国内ではこの方式を実施できる医療機関は非常に限定されています。これは、第三者からの卵子提供に関する法整備が追いついておらず、国内の実施には、例えば日本産科婦人科学会(JSOG)や一般社団法人日本生殖補助医療標準化機関(JISART)などのガイドライン・倫理審査の下での承認を前提としているからです。

そのため、国内での卵子提供を希望される場合は、まず「該当クリニックがこの治療に対応しているか」「倫理・手続き体制が整備されているか」を個別に相談・確認することが不可欠です。また、提供ドナー・受給者それぞれの医学的適応・倫理的配慮・カウンセリング体制等も慎重に検討されるべきです。当記事では、主に「パターンA:胚輸送プラン」について詳しく解説していきます。

国内完結型(胚輸送プラン)の一般的な流れ

エージェントや利用されるクリニックによって詳細は異なりますが、ご夫妻が海外へ渡航することなく進められるのが胚輸送プランの大きな特徴です。採卵はドナーが海外に渡航して行い、培養された受精卵(胚)は凍結された状態で日本へ輸送されます。ここでは、そのおおまかな流れをステップごとにご紹介します。

ステップ1:カウンセリングとドナー選び

まず、ご夫妻はエージェント(国内・海外問わず)との面談を行います。オンライン面談が一般的になっており、ご夫婦の背景、希望、身体的条件、治療スケジュールなどについて丁寧にヒアリングを受けます。

その後は、エージェントや提携機関が提供するオンラインシステムやカタログを用い、日本人ドナーのプロフィール(年齢、健康履歴、既往、子どもの有無、身体的特徴など)を閲覧して最適なドナーを選定していきます。ドナーはこの段階で既に海外に渡航し、採卵プロセスの準備を開始するケースが多く、ご夫妻による渡航は不要です。

このプロセスにおいては、ドナー・受給者双方の倫理的配慮やインフォームドコンセント、適格性チェック(年齢・健康・遺伝病既往など)といった項目が重要となることが、国内外の文献でも指摘されています。

ステップ2:ご夫妻の準備(精子凍結など)

次の段階では、ご夫妻それぞれが移植に向けた準備を進めます。男性側は精子の採取・凍結を国内のクリニックで行い、女性側は移植に向けた検査・内膜調整などを開始します。

まず、ご主人様は提携クリニックで精液検査を受け、その後精子を採取・凍結保存します。多くの場合、採取前には感染症検査や abstinence(性行為や自慰からの休止期間)の指示が出され、適切なタイミングで採取・凍結がなされます。例えば、あるクリニックでは「提出前48時間以上、7日未満の abstinence」等を指示しています。この段階での保存は、後の胚作製や移植への準備として非常に重要です。

一方で奥様は、移植に向けた準備を並行して進めます。卵子提供・胚移植を可能とするために、ホルモン検査・子宮内膜の評価・子宮内腔の確認などが行われ、国内クリニックで移植のベースを整えます。例えば「日本産科婦人科学会・日本生殖補助医療標準化機関(JISART)による生殖医療ガイドライン」でも、移植に向けた準備段階の重要性が指摘されています。

このように、ご夫妻が国内で準備を整えたうえで、次のステップ(海外での採卵・受精へ)に進む準備が整います。

ステップ3:採卵と受精(海外で実施)

このステップでは、ご夫妻が国内で準備を整えた後、実際の「採卵・受精・培養」工程が海外の提携クリニックで行われます。

凍結保存されたご主人様の精子は、海外施設へ移送され、ドナーが渡航して採卵・受精を受け、胚(受精卵・胚盤胞)まで培養されるのが一般的です。海外での高水準な培養技術を活用することで、質の高い胚の作成を目指す一方で、ご夫妻自身の渡航を伴わずに治療を進められるというメリットがあります。

海外施設での採卵・受精・培養では、ドナー・精子提供者・受給者間で適格性の審査や倫理的・法的手続きが厳格に行われるケースが多く、また胚の輸送を見据えた凍結・管理・検査体制が整備されている施設を選ぶことが重要です。

ステップ4:受精卵(胚)の日本への移送

この段階では、海外で採卵・受精・培養された胚(受精卵)が、日本国内での移植に向けて移送されます。

凍結された胚は、液体窒素または冷凍保管用クライオシッパー(dry shipper)等の適切な容器を用い、国際輸送されます。配送には、温度管理、追跡、通関手続きなど厳格な物流・法的要件が伴います。日本国内のクリニックでは、輸送された胚を受け入れ、保管・移植スケジュール調整を行ったうえで、次のステップ(国内での胚移植)へ進みます。

なお、輸送中の温度変化・通関遅延・法規制等のリスクもあるため、提携エージェント・クリニック双方と慎重に段取りを打つことが重要です。

ステップ5:日本国内での胚移植

最後のステップでは、海外から移送された胚(受精卵)を用いて、日本国内のクリニックで移植が行われます。

まず奥様は、国内クリニックで子宮内膜の状態を整えるためのホルモン補充や検査を受けます。これにより、移植する胚が着床しやすい環境を整えます。内膜の厚さやホルモン値などが適切な状態になった段階で、凍結輸送された胚を解凍し、胚移植が実施されます。移植後は妊娠成立を確認するためのホルモン検査や超音波検査を行い、必要に応じてサポート療法が継続されます。

国内での移植を行うことで、妊娠後のフォローアップや緊急時の対応が迅速に行える点が大きなメリットです。また、移植までのスケジュールや治療内容を日本語で確認できるため、患者さんにとって安心感が高い工程となります。

「渡航あり」と「国内完結(胚輸送プラン)」のメリット・デメリット比較

メディブリッジでは、従来型の「渡航あり」プラン(海外で採卵・受精・移植まで行う方法)と、「国内完結(胚輸送プラン)」 のどちらもご利用いただけます。近年は、仕事やご家庭の事情で長期間の渡航が難しい方が増えており、多くの方が国内で移植まで完結できる胚輸送プランを選ばれる傾向があります。

しかし、どちらの方法にもメリットと注意点があります。国内完結(胚輸送プラン)と「渡航あり」プランをそれぞれ比較しながら詳しく整理していきます。

国内完結(胚輸送プラン)を選ぶ理由・メリット

国内完結(胚輸送プラン)を選択する最大のメリットは、ご夫妻が海外に渡航する必要がない点です。職場を長期間離れることなく治療を進められます。特に、複数回の胚移植が必要になる可能性を考えると、国内での治療はスケジュール調整の負担が少なく済みます。

加えて、慣れ親しんだ生活環境の中で治療を受けられるため、家族のサポートも得やすく、精神面での安定につながります。さらに、国内のクリニックで治療を進めるため、既に信頼している主治医のフォローやサポートを受けながら、胚移植を行うことができます。医療面での安心感が高く、妊娠後の経過観察や問題発生時の対応もスムーズです。

これらの理由から、仕事や生活環境の制約がある方、精神的な安心感を重視したい方には、国内完結(胚輸送プラン)が選ばれるケースが多くなっています。

国内完結(胚輸送プラン)のデメリット・注意点

国内完結(胚輸送プラン)はご夫妻の渡航負担が軽減される一方で、いくつかの注意点も存在します。まず、海外で作成された凍結胚を日本へ運ぶ際には、どれだけ管理体制が整っていても国際輸送特有のリスクが伴います。破損や温度トラブルなどの可能性は低いものの、完全に避けることはできません。

また、国内で移植を行うには、クリニックが「持ち込み胚」の受け入れに対応している必要があります。すべての医療機関が対応しているわけではないため、事前の確認や手続きが必須です。さらに、妊娠後に出産院へ転院する際、クリニックからの紹介状や詳細な医療情報提供が得られない場合があります。そのため、妊娠・出産に関する情報管理を事前に確認しておくことが重要です。

このように、国内完結プランは安心感や利便性の高さが魅力ですが、輸送リスクやクリニック選定、出産後のフォロー等に関する制約を理解したうえで選択することが大切です。一方で引き続き、移植までの全工程、あるいは初診は国内でリモート、移植は海外のクリニックを選択される方もいます。負担が多いと思われがちな海外渡航ですが、以下のようなメリットがあるのも事実です

渡航あり」プランを選ぶ理由・メリット

海外渡航を伴う「渡航あり」プランでは、胚の作成から移植までを同じ海外クリニックで一貫して行うことができる点が大きな特徴です。胚を作成したクリニックでそのまま移植を行うため、培養環境や医療スタッフの継続的管理が可能です。これにより、胚の質を最大限に生かし、妊娠率の向上が期待されます。

妊娠成立後、出産院に転院する場合でも、海外クリニックから医療情報提供(紹介状)が発行されるため、母体・胎児管理に必要な情報が確実に引き継がれます。また、海外での治療は、日常から離れた新しい環境での体験となることが多く、心理的に心機一転のきっかけとなり、前向きに治療に取り組む意欲につながる場合があります。

このように、渡航ありプランは治療成績や医療情報の一貫性を重視する方に適しており、治療方針やスケジュールに余裕がある方に選ばれる傾向があります。

渡航あり」プランの注意点

海外渡航を伴う治療は、多くのメリットがありますが、同時に注意点も考慮する必要があります。航空券や滞在費、海外クリニックでの医療費など、国内完結プランに比べて経済的な負担が大きくなります。複数回の治療が必要な場合は、費用総額も増える可能性があります。

海外渡航に伴い、仕事や家庭のスケジュール調整も必要になります。特に、採卵や移植のタイミングに合わせた滞在計画が重要です。複数回の移植を考える場合、渡航計画の立案が複雑になることがあります。また、海外での生活環境や言語、医療体制の違いに伴うストレス、長距離移動による疲労などが生じる可能性があります。これらは妊娠成立や治療継続に影響を与えうる要素として事前に考慮が必要です。

とはいえ、困難な治療を長年続けてこられた方にとっては、「治療のために海外に赴く」という行動そのものが、自己の卵子での治療に区切りをつけ、これまでの努力をねぎらい、新しい選択に納得して踏み出す象徴的なステップになることもあります。心理的な意味では、これが最も大きなメリットとなる場合も少なくありません。

プラン比較表

比較項目渡航ありプラン国内完結(胚輸送プラン)
ご夫妻の渡航必要不要
採精現地クリニック日本国内(凍結輸送)
ドナー採卵・受精海外クリニック海外クリニック
胚移植海外クリニック日本国内のクリニック
メリット・妊娠率が高い傾向 ・移植と胚作成が同一施設 ・出産院への紹介状発行 ・心機一転のきっかけになる・仕事を休む必要がない ・日本で移植できる安心感 ・日本の主治医の元で管理可能
デメリット・注意点・渡航の負担(時間・費用) ・仕事の長期調整が必要・凍結胚の輸送リスク日本の受け入れクリニックの確保 ・紹介状が出ない場合がある

ご自身に合った治療法をご選択ください

心理的にも金銭面でもご負担の多い卵子提供治療ですから、様々な角度からご自身に合う治療法を見つけていただきたいです。弊社には経験豊富なスタッフが多くおりますので、是非、皆様のご希望をお知らせください。

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