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「授精」と「受精」の違い

生殖補助医療(ART:Assisted Reproductive Technology)の技術は日々進歩しており、自然妊娠が難しかった不妊症のカップルが子供を授かるということが可能となりました。
ARTの代表的な技術には、人工授精や体外受精、そして顕微授精とありますが、人工授精と顕微授精は「授」で、体外受精は「受」と漢字が違います。
なぜこのように「授精」と「受精」で日本語の漢字は異なるのでしょうか?

<人工授精>
人工授精は、現在の不妊治療では最初に行う本格的な治療方法で、日本では1974年に初めて行われました。
この治療法は、受精が行われる卵管膨大部に到達する受精の数が少ないときに、人為的に採取した精液を子宮内に直接注入することで、精子と卵子が出会う確率を高めます。
人工授精は英語でArtificial Insemination(AI)といいますが、Artificialとは人工という意味であり、Inseminationには種子を植えるという意味があります。
つまり、人工的に精子を子宮内に授けるという事です。
なお、人工授精はタイミング療法を行ってもうまくいかない場合や、男性の精子量などに問題がある場合、また女性生殖器の問題によって子宮内への精子の通過が困難な場合に行われる治療法です。
人工授精の利点は、心身への負担が少ないこと、費用が比較的安価、毎週期ごとに行えることがあげられます。

<体外受精>
体外受精は、広く行われる不妊治療の一つであり、日本では1983年に初めて体外受精の子供が生まれ、現在では1年間で約2万人の赤ちゃんが誕生しています。
この治療法は、卵子を体外に取り出し精子とシャーレの中で合わせて自然受精させ、数日培養した胚を子宮に戻します。
体外受精は英語でIn Vitro Fertilization(IVF)といい、In Vitroとは試験管内や生体外のという意味であり、Fertilizationは受精という意味があります。
つまり、精子と卵子が結合して受精が起こるという事です。
なお、体外受精はタイミング法、人工授精と不妊治療をステップアップしてきても妊娠に至らない場合や、両方の卵管が閉塞している場合、高度乏精子症や精子無力症などの場合に行われる治療法です。

<顕微授精>
顕微授精は広い意味での体外受精に含まれ、1個の精子でも受精が可能なことから広く行われるようになり、日本では1992年に初めて顕微授精による子供が誕生しました。
この治療法は、精子を1個だけ吸引し、針で卵子の細胞質内に直接精子を注入します。
英語でIntracytoplasmic Sperm Injection(ICSI)ですが、顕微授精が始まったときはMicro-Inseminationという言い方をしており、Inseminationには種子を植えるという意味があります。
つまり、精子を卵子の中に授けるという事です。
なお、顕微授精は精子側の受精障害がある男性不妊症の場合や、高齢の不妊症の方の場合、その他の不妊治療で妊娠に至らない場合に行われる治療法です。

このように、精子を子宮、又は卵子の中に人工的に入れるのは「授精」、精子と卵子が出会い結合するのは「受精」と違いがあるため、漢字も異なります。
それぞれのカップルの不妊原因によって治療法は異なりますが、各治療のステップアップを見極めて治療を行っていきましょう。


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